酒造りでは微生物が生みの親、
我々蔵人は育ての親。
製造 2009年 新卒入社 自然科学研究科 生命・食料科学専攻 博士課程
五十嵐 雄太
※所属および掲載内容は取材当時のものです。
酒×イネ、日本酒メーカーは私にとっての必然。
大学では、イネの花が咲く仕組みを遺伝子レベルで研究し、品種改良の基礎に活かすための研究をしていました。その流れで、就活では農業支援も視野に米関連の仕事を考えていましたが、実家が酒販店で酒が身近にあったことから、米を主原料とするに日本酒メーカーに絞りました。当社は風通しの良い社風で、研究や開発でやりたいことがやれる自由さがあることが決め手になりました。入社後の2年間で全部署を回り、会社の組織体制を学んで生産部製造部門に配属され、それ以来、製造を担当しています。2013年は半年間現場と兼務する形で、造り手の立場から蔵の建て替えプロジェクトに関わりました。
機械化とこだわり、それぞれを極めた蔵がある。
当社には、商品のほとんどを製造している「二王子蔵」と、コンテスト用の酒や海外向けプライベートブランドの酒などを醸す「節五郎蔵」があり、私は今、その両方を統括しています。二王子蔵では機械を入れて作業効率を高め、技術の標準化も進めていますが、機械はあくまでも道具であり、重要な工程や判断は蔵人が行います。一方の節五郎蔵では、全工程で機械を最小限にとどめ、酒造りを学ぶ場として、また、特別な大吟醸を生産することで酒造りの技術を高める場としての役割を担って稼働しています。節五郎蔵の目標は全国新酒鑑評会で金賞を受賞することだけでなく、ここで培った技術を市販酒生製造に落とし込んで、味わいと品質のレベルアップを図ること。二蔵体制は、おいしい酒造りには欠かせない取り組みなのです。
北越後テロワールを感じられる酒を生み出す。
酒造りでは、厳密に言えば同じものは二度とできず、また、検証してもわからないようなことも多々発生します。それは、酒が生きているから。酒を造っているのが微生物だから、すべてを人が制御するのは難しい。人ができるのは状況を見極め、微生物の働きを調整することなんです。気が抜けない仕事ですが、一期一会ゆえのおもしろさもあり、慣れや飽きはありません。節五郎蔵では常に新しい挑戦を続けており、今は北越後の地域性をより活かした、テロワールを感じられる酒の製造を検討中です。日本酒は地域とは切り離せないものだから、環境保全や維持にも気を配っていかなければ。それも私たちの責任だと思っています。
1日のスケジュール
- 8:00
- 始業
排水処理場管理(ユーティリティー管理)
酒母・醪管理
仕込準備 - 9:30
- 仕込作業
- 10:30
- 洗浄作業
- 12:00
- 休憩
- 13:00
- 製造計画・社内折衝(事務作業)
- 15:00
- 業務会議
- 16:30
- 翌日作業準備
排水処理場管理 - 17:30
- 終業